先日、とある保育所の先生方に『体幹を育てる運動遊び』というタイトルで講義と実技のセミナーをさせていただきましたので、今回は体幹について書きたいと思います。
【体幹って何?】
スポーツの世界では『体幹が弱いから鍛えないといけない』といった言葉をよく聞きますが、『体幹』とはそもそもどこの部分をいうのでしょう。実は『体幹』の定義はされておらず、スポーツ界では胴体部分のインナーユニット(インナーマッスル)を指すことが多いのですが、子どもを対象とした場合、四肢と頭部を除いた胴体部分の事と考えていただければいいと思います。
【体幹が弱いとどうなるの】
体幹が弱いと、『猫背』になったり『おなかがでる』ことがあります(このような姿勢だからと言って必ず体幹が弱いと決めつけるのはいけませんが)。機能的にいうと、内臓が下がってしまったり、じっと立って(座って)いられないことにもつながります。そして体をうまくコントロールできなくなるので、結果的に運動が苦手になってしまします。
【体幹が強い?弱い?】
体幹の強弱を判断するには子どもの体重に対する筋力、つまり相対筋力があるかないかで見てあげると良いと思います。したがって体が大きく体重の重たい子は、自分の体をコントロールするためにある程度強くないといけません。
【どうやって体幹を鍛えるの?】
『鍛える』と聞くと、『筋トレ』をイメージする方も多いでしょう。もちろん体幹を鍛える専門的トレーニングはあります。巷には体幹に関する書籍もたくさんあります。しかし筋力トレーニングは、やり方や時期を間違えば怪我につながることもありますし、そもそもあまり楽しいものではありません。
子どもの頃はたくさん遊べばいいのです。遊びの中に体幹を使うような動きをたくさん取り入れれば、トレーニングをしている自覚はなくどんどん強くなるでしょう。
具体的には、地面に対して平行になるような動き(四つ這い、高這い、クモ歩き、転がる)や、寝転んでから起き上がる動作、ジャンプ(跳びおり、高く跳ぶ、遠くに跳ぶ)などが良いでしょう。アスレチックで遊ぶこともとてもいいと思います。
【日常に取り入れる】
以前ARPSに通ってくれていた生徒さんのお話ですが、テレビゲームが好きで、体幹も弱く体を動かして遊ぶのは得意でない男の子がいました。しかし数か月後、どんどん彼の動きが変わってきたのです。お父さんにそのことを伝え、「普段何かしていますか?」と問うと、「家で座る時にビーズクッションを使っていたのですが、それを捨ててバランスボールに変えました」と仰っていました。その後、彼の好きな遊びが「ドッヂボール」に変わったことは忘れられない思い出の一つです。
このように、遊びにしても普段の生活のなかに自然にあるという事が、子どもの体幹を強くするためにとても大切なことなのです。