人生において、程度の差こそあれ、失敗をしたことがない人はいないでしょう。過去に経験してきた失敗の数と、その失敗をどう捉え、どのように乗り越えてきたかは、人生を左右しかねない大きな事だと思います。
レッスンをしていると、「失敗するからやりたくない」となる子がいます。もちろんチャレンジしなければ失敗することはありません。誰しも失敗は気持ち良いものではないので分からなくもないのですが、そもそも『失敗』とはそんなに悪いことなのでしょうか。
運動やスポーツに置き換えると、最初から上手に出来ることなんて殆どありません。上手くいかないからこそ、どうやれば上手くいくかを考え、繰り返し練習します。その試行錯誤や反復によって培われた経験が成功へと導いてくれます。
スポーツには失敗と成功が溢れています。努力が実らないことも多々あるでしょう。この小さな失敗と成功の繰り返しによるストレスが心を強くしていくのは間違いありません。そして小さな成功体験の積み重ねが、次のチャレンジの礎となるのです。
周囲の人間が失敗を責めたり笑ったり、また成功を求めすぎたりすると、子どもは「失敗したくない」と思うようになり、チャレンジをしなくなってしまいます。もう一度言いますが、チャレンジしなければ成功もないのです。失敗することが『悪』なのではなく、上手くいかない事を恐れて『やろうとしない』ことの方が私は問題だと思っています。
失敗や挫折を恐れすぎるあまり、無難な道を歩んでいると、大人になって大きな壁にぶつかったときに、その壁を乗り越える気持ちや、手段が解らず途方に暮れてしまうことになるでしょう。しかし痛いほどの失敗は小さい時にこそ経験しておかなければ、大人になってからではより大きなダメージとなって自分に返ってきます。
「子どもに失敗してほしくない」というのは誰もが持つ親心だと思いますが、先回りして失敗させないようにするのではなく、「失敗も経験だ」と大きな心で見守ってあげられる親になりたいものですね。