自分のせい理論

 今回は、私が勝手に名付けた『自分のせい理論』についてお話したいと思います。もともとは自分がイライラしたり、他人に腹を立てることを避ける為に数年前に思いついたものでしたが、自身の成長につながることにも気づき、それ以来、仕事・私生活においても、考え方の主軸となっているものですので、少しお話したいと思います。

 『理論』と呼んでいますがそんなに仰々しいものではなく、要は『すべて自分の責任である』ということなので、一部の人には「そんなんあたりまえやん」と思う事かもしれません。

 例えば、仕事で誰かがミスをするとする。そのときに腹が立つのは、その責任の所在が相手にあると考えているからで、そのミスが起こる前に「自分に出来ることは無かったのか」と考えるようにするとあまり相手に腹は立ちません。そして、「次はそのミスが起こらないようにしよう」とシステムを改善したり、確認を強化することに繋がります。

 指導者の立場で、教えてもなかなかうまくいかない場合、飲み込みの悪い相手のせいだと思ってしまうと「どうして出来ないんだ!」とイライラする原因となりますが、「出来るようになるポイントを本当に押さえていたのか?」「自分の教え方、伝え方の引き出しが少なかった」と考えれば、指導力の向上につながります。
また、話が伝わらない子どもがいたとして、「話を聞きなさい」と怒るのではなく、「話す前にちゃんと注意を向けられていたか」「タイミングや話の長さなど、分かり易く話せていたか」と、指導者側の責任であると考えるべきで、ARPSでもこの考えは共通理解になっています。

 これは何も仕事や指導者だけの話ではなく、日常生活でも活用できると思います。例えば部屋を散らかして片付けない子どもに、「片付けなさい!」と叱るばかりではイライラしてしまいますが、「言い方はきつくなかったかしら」と、自分の言い方を見直してみたり、「進んで片付けてくれる方法はないかしら」と、考える方がお互いにとっても建設的ではないでしょうか。

 しかし偉そうに語っている私も先日、個人レッスンで自分が想像していたほど子どもが伸びず、イライラしてしまって猛省をしたところでした。その生徒には帰りに、「今日は楽しいレッスンじゃなくてごめん。うまくいかへんかったんは全部テツイ先生のせいやし、次は楽しくうまく出来るように先生も頑張るし、一緒に頑張ろうな」と言ったところで、その時は「まだまだ駄目だ」とだいぶ凹みましたが、次の解決案はすでにいくつか考えています。

 実はこの理論に到達する前は『人に期待しない理論』を打ち立てていました。人に期待せず全部自分でやれば、他人のせいにしない分、苛立ちを軽減できると思っていましたが、これは良くありませんでした。ある意味『自分のせい理論』と似ているようにも感じますが、そもそも『相手に期待しない』というネガティブな気持ちを活力にしているため、自分への負担は大きく、その時の私のやさぐれ感はすごかったです(笑)

 偉そうに講釈をたれるほど人間ができているわけでもなく、考えを押し付けるつもりも全くありませんが、少しでも他人に対して苛立つネガティブな感情が緩和されれば嬉しく思います。

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