期待値と適度な距離感

 私たち親は自分の子どもに「こう育ってほしい」という気持ちはどうしても強くなりがちで、期待値は高いものです。教えてあげようとする時も、出来るようになって欲しいという気持ちが前に出過ぎて「こうした方がいい」「なんでできないの?」とイライラすることも多くなるでしょう。

 「ああしなさい、こうしなさい」と親が子どもの為だと思ってやっていることも、一歩間違えばかえって嫌いになってしまったりやる気を失ってしまうことに繋がります。それを避けるには「子どもが自分で決める、自分からやりたいと思う場面を作る」ことです。

 つまり子どもが教えて欲しいと思うくらい「やりたい」という環境をまず作るという事が大切です。そうなればむしろ親は何かを教えようとしなくていいとさえ私は思っています。

 それでも親が何かしたいのであれば、指導者の役わりになるのではなく、一緒にやる友達のような関係性の方がいいのかもしれません。難しいことは考えず一緒に楽しめばいいのです。

 これは私自身が娘の幼い頃に失敗した経験から来ているものです。外で娘と一緒に遊んでいても「こうしたほうがいい」「次こうやってみて」と言い過ぎてしまい、ついには「お父さんと遊ぶのは嫌だ」と言われたことがありました。モチベーションを下げてしまう駄目な指導者の典型になってしまったのです。
 一方、私は遊びで絵を描くこともあるのですが、習ったこともなく大した腕前でもないので子どもに絵を描くことを強要したことや教えた事は一度もありません。ただ楽しそうに熱中している私の姿を見て娘は自然に「私も描きたい」となったのです。
現在娘は10歳ですがスポーツより断然アートが好きな子になりました(笑)

 私は今までに数えきれないほど多くの子ども達の前に立ってきましたが、自分の子には教室で子ども達に教えるようにできなかったのです。自分の子に教えるのはとても難しいことなのだと実感しました。

何かが得意になる最高の方法は「好き」になることです。「出来なかったことが出来て楽しい」→「楽しいからたくさんやる」→「得意になるからもっと好きになる」といったサイクルに入れば、親が何かをしなくても子どもは成長していきます。

 良い距離感を保って接することがなによりも大切なのかもしれません。

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