時々「うちの子は何のスポーツが向いていると思いますか?」と聞かれることがあります。今回はその考え方について少し書いてみたいと思います。
まず、向いているスポーツを考える際には、コーディネーション能力を理解しなければなりません。改めて7つのコーディネーション能力を説明をすると、
定位→物と自分の距離感
連結→身体を連動させ滑らかに動かす
反応→合図に対して反応する
変換→変化するものに対して反応を変える
識別→道具を手足の延長として動かす
バランス→静止または動的動作での身体姿勢維持
リズム→タイミングを合わせる
となります。
例えば、野球ならバットの操作は「識別」。フライでボールが落ちてくる位置を予測するのを「定位」となります。また体操競技では、身体を滑らかに連動させる「連結」を使う割合は高いですが、ボールや道具を使う「定位」「識別」の能力はあまり必要ありません。
そこまできっちり分けられるものでもないのですが、よく使う能力はスポーツによって変わります。
今度は、子どもがどの能力に長けているかを考えます。ボールが得意で距離感が取れているなら球技が向いているとか、走ったりジャンプしたりは得意だが道具を使うのはあまり得意でないという場合であれば陸上競技に向いているといった具合です。
理論的にはこのようになり、私達指導者は子どもを見れば大体わかるのですが、やはり一般の方には少しわかりにくいかもしれません。
現在ではDNA検査があり、遺伝の要素が多い部分(筋肉の質など)の結果によって向いているスポーツを調べたりする事はできます。
ただ、私はそこまで向き不向きを気にする必要はないと考えています。オリンピックやプロスポーツを目指している場合なら別かもしれませんが、多くの子ども達にとってはスポーツをすること自体に学びがあると思っているからです。
また幼い頃から「この子にはこれだ」と決めつけてしまう事も危険です。足りない部分を努力して伸ばすために自分の特徴を知ることは大切ですが、伸び代はまだまだあるのに不得意なことを早々に諦めてしまう危険性もあるからです。
したがって本当に大切なことは、子どもが様々な運動やスポーツを経験し、自ら「これが好き。やりたい!」と言えるようなスポーツを見つけてやることが、向き不向きよりも重要なことだと私は思います。