競争すること

 先日、レッスン前にたまたま子ども達と少し話した内容が、ARPS他の子ども達にも共有したかったのでそのことについて書きたいと思います。

 最初の発表の際に「今日〜で一番になって嬉しかったです」と言ってくれた子どもがいました。私はふと「1番は嬉しいよね。じゃあ2番や3番じゃダメだと思う?」と他の子にも問いかけると、「2番や3番は嫌だ」とか「競争しなければいいと思う」と発言した子もいました。

 私は「先生ももちろん1番になれば嬉しいし、負けるととても悔しい。でもね、人と競うばかりが競争じゃないし、2番や3番がダメだということじゃないんだよ」と言いました。

 子ども達はまだポカンとしています。

「競争ってだいたい人と比べて勝ち負けを決めるでしょ?先生はそれ自体は悪いことだとは思っていないんだよ。でもね、人と比べて勝つことだけを目標にしてしまうと、その人に勝ったらまた勝ちたい人を見つけないといけないし、勝ちたい人がいなくなったらそこで目標を失ってしまうでしょ?」

 私の事をジッと見つめて話を聞いてくれています。

「だから先生はみんなに、いつも過去の自分と比べて欲しいと思っているんだよ。過去の自分以上を目標にすればいつまでも成長し続けられるからね」

「そして人と競争するのは、自分がしてきた練習や今の実力を試すためにたくさん競争すればいいと思う」
と伝えました。どれくらい理解してくれたのかは正直わかりませんでしたが、いつか「テツイ先生があんな風に言っていたなぁ」と思い出してくれたらいいと思っています。

 ARPSでは、あまりに小さい子ども達には、直接的な競争は避けています。直接的な競争とは、一対一の対戦などです。これは負けた時の心の負担が大きく、まだその処理能力が育っていないためです。「負けるのは嫌だからやりたくない」とは思わせたくないのです。

 しかし筋トレなども同じですが、いつまでも負荷を避けていれば強くはなりません。ある程度の適切なストレスは心も身体も成長させるものだと思います。

 ですので、大きくなってくれば人数が多いチームでの対戦から始め、心が強くなってきた頃には徐々に人数を減らして対戦するようにしています。

 「人と競争することは自分の実力を測る為」と捉え「あくまで打ち勝つのは過去の自分」と考え自己研鑽することで、スポーツのみならず、人生に立ちはだかる数多の壁を乗り越える一つの考え方だと私は感じています。 

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