ARPSでは、コーディネーション運動をベースとしてプログラムを作成していますが、子ども達にとっては、遊んでいる感覚でできるものをいつも考えています。それではなぜ「遊び」が大切なのかについて今回は話したいと思います。
まず、運動神経を伸ばす為に必要な事を簡単にいうと、自分の身体を自由に動かせる筋力を持つことと、幼い頃から多種多様な動きをする事が必要です。
「筋力が必要」と聞くと「筋トレ」をイメージするかもしれませんが、ここで大切なのは「重たいものを持てる」と言った「絶対筋力」ではなく、自分の体重に対しての筋力、つまり「相対筋力」のことです。自分の身体を自在にコントロールするには、ある特定の筋力が強いことよりも、全体的にバランスの取れた筋肉がついている事が大切です。
次に「運動神経が良い」とは「身体をコントロールする引き出しが多い」と言い換えられます。そしてその引き出しを多く持つ為には、幼い頃から多種多様な動きをする事で身につきます。この多種多様な動きというのは、なにもスポーツに直接つながるような正しい動きだけでなくとも良いのです。
これらを纏めると、子ども達にとってバランスの良い筋力をつけ、身体操作の引き出しを多く持つ為には、身体を使って様々な遊びを沢山する事が一番効率が良いと言えるでしょう。
また遊びには、ルールを自由に決めるような創造性や、仲間と相談して遊びを決めたりするコミュニケーション能力の発達にもつながります。
逆に、幼い頃から特定のスポーツだけを行うとそのスポーツに必要な筋力とスキルは身につきますが、それ以外の部分はあまり発達しません。またスポーツの上達は「無駄な部分を削ぎ落とす」事と言えますが、身体操作の引き出しを増やすこととは少しずれてしまいます。
したがって、幼い頃は外遊び(スポーツを習っても良いがそれだけにならないように)をたくさん行い、身体を動かす土台を作ってからスポーツに移行していくのが良いでしょう。
遊びは誰かにさせられるものではなく楽しいからするものです。スポーツにおいても「楽しい」という根本的な部分が無いと技術も向上しにくいので、まずは「身体を動かすことは楽しい」という核になる部分を幼い時から感じて欲しいものですね。